自分を外へ放つ

真っ直ぐに腕を前に伸ばす人。その袖先からたくさんの鳥が飛び出している。 テキスト
真っ直ぐに腕を前に伸ばす人。その袖先からたくさんの鳥が飛び出している。

最近人と会うと、社会情勢が怖いとか安心できないとか、戦争が嫌だとかそんな話ばかりが増えた。

自分の気持ちだけで言えば「もう無理、絶望的、どうにもならない気がする」と思うんだけど、人と話していると自然と「どうする?」という、未来の話になっていく。

私は自分を大事にすることが苦手だ。
ひとりだったらもうあっさり(?)絶望して自暴自棄になっているだろう。でも、二人以上でその話をすると、私が社会に絶望することは、相手の未来を否定することにもなってしまう。すると結局、自分も含めた未来を考えることになり「どうする?」という話になるのだ。

そのように、誰かを前に「どうする?」と考えるとやりたいことはたくさんあるし、どうにもならない気がすると思っても、何もしないではいられない。性格か、あるいは生存本能かもしれない。

この間見たテレビで大江健三郎が、未来へ向かうことについて、「不確定とわかっていても、今の自分を未来へ、放って行く(こと)」というような表現をしていた。
未来とか希望とか、羽ばたくとか進むとか、そういったキラキラした目線と比べたら“不確定な中に自分を放り込む ”というのは、とても不穏で不安な進み方だ。しかし、それを聞いた時、自分の中でいろんな点と点がつながったように感じた。

冒頭に書いたように、私は自分を大事にすることが苦手だ。
しかし、お布団でゆっくり休むだけではなく、自分を未来へ放ることもまた“大事にする”事なのだとしたら、私にも出来そうな気がした。

私に足りないのはおそらく、鎧だろう。
休むためのお布団だけじゃなくて、怖くて、安心できなくて、お布団にいても不安だから外に飛び出して、そんな時、自分がボロボロにならないための鎧。それを大事な自分に着せてやるのだ。

希望を持てなくてもガッカリしながらでも、進まなければいけない。鎧を育てよう。
私は誰も殺したくないし何も壊したくない。

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